デビッド

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ふと高校受験の時の事を思い出した。

親の仕事の都合で東京に引っ越すことが決まっていたのでクラスで一人東京の高校を受験した。

まさか初めての東京行きがこんな形で訪れるとは思ってもみなかった。

 

本命のA校入試当日、緊張しながらも最初の科目を終えると俺の前に座ってた奴が声をかけてきた。

「今の科目どうでした?」

人懐こい奴だった。

休憩時間に答え合わせをしながら、あっという間に打ち解けた。

お互い試験で不安になってるってのもあったのだろう。

「お前もう受かったつもりでいるだろ。」

「そっちこそ。」

とにかく頭が回って、よく気がつく奴だった。

その上顔もそこそこ整っていた。

今で言う石川遼みたいなタイプ。

いろいろ話をしていると数日後の別の高校の入試でも一緒になることが分かった。

その日はこの本命の合格発表の日である。

もちろん一緒に見に行く事に。

 

後日、すべり止めの試験を終えると電車とバスを乗り継ぎA校に向かった。

試験が終わった解放感でやたらと話が弾んでいた。

ほとんどは奴が話していた気がするが。

到着すると二人で掲示板の前に立ち、一生懸命自分の番号を探した。

・・・・・。

あった!受かってた!

喜びながらやつの方を振り向いた。

少し間をおいてこっちを向いた奴は苦笑いしながら言った。

「俺はダメだった。」

何て声をかければいいか分からなかった。

俺が受かるなら奴も当然受かると思っていた。

奴は複雑な顔をしている俺を見て気を遣ったのか、自身のプライドを保つためか、いたたまれなくなり「じゃあ。」と短く言い残してその場を後にした。

俺は足早に立ち去ろうとする奴の背中に向けて、「がんばれ、俺もがんばるからがんばれ!」と声をかけるのが精一杯だった。

お互い15のガキだから、こんな時どうすればいいかなんて分かるはずも無かった。

 

奴とはそれきりだ。

今時なら携帯の番号やアドレスを交換してたりするのだろうが、いかんせん二十年以上前の話。

もし二人して合格していたら、今でも付き合いがあったのかもしれない。

なぜだかそんなことを考えてしまった一日。

たった二日だけの友達だったけど、忘れられない友達。

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このページは、GAUCHEが2009年8月10日 23:59に書いたブログ記事です。

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