昔々、ある村に一人の男がいた。
男は何をやってもうまくいかなかった。
「オラ学校でいっぱい勉強して一番の成績だって取ったのに、なんでこんなに不幸なんだ?」
そう言いながら貧しい暮らしをおくっていた。
ある日、男は道で卵を拾った。
その卵は日にかざすと七色に光った。
「不思議なこともあるもんだ。」
男はそれを袋に入れて大事に持って帰った。
家に帰ると男は卵を皿に入れ、棚の上に置いて拝んだ。
「何かいいことがありますように。」
卵は金色に光り、男はそのまま眠ってしまった。
次の日から男の人生は変わった。
何もかもがうまくいくようになった。
土を耕せば宝を掘り当てた。
村で一番美しい娘とも結婚した。
戦でも活躍し、王様の家来になれた。
大きなお屋敷を建て、男は村で一番の幸せものになった。
数年がたち、男はそんな暮らしにもすっかり慣れてしまった。
遊んで家に帰らないような日もたびたびあった。
怠けるようになった男は、ある日王様に呼ばれたが病気だといって休んだ。
酒を飲み退屈そうにあくびしながらベッドに寝転んだ。
「何かいいことねえかな?」
ふと棚に目をやると卵があった。
宝石や王様からの勲章にすみっこに追いやられ、すっかり埃をかぶってしまっていた。
男は卵を見ながら考えた。
「この卵を持って帰ってきて幸せになったんだから、またお願いすればもっと幸せになるに違いない。」
男は卵を手に取り、お願いした。
「この国の誰よりも幸せになれますように。」
卵は何も変わらなかった。
男は卵を強く握りしめ、もう一度お願いしようとした。
すると卵は手の中でグシャグシャに割れてしまった。
ビックリした男はあわてて卵の殻を拾い集めたが、もうどうしようもなかった。
次の日から男は何をやっても失敗した。
王様からクビにされ、お屋敷も無くなり、妻も出て行った。
男は元の貧しい暮らしに戻った。
「オラ卵の持ち方も知らない大馬鹿野郎だ。」
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