2009年4月アーカイブ

幸せの卵

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昔々、ある村に一人の男がいた。

男は何をやってもうまくいかなかった。

「オラ学校でいっぱい勉強して一番の成績だって取ったのに、なんでこんなに不幸なんだ?」

そう言いながら貧しい暮らしをおくっていた。

 

ある日、男は道で卵を拾った。

その卵は日にかざすと七色に光った。

「不思議なこともあるもんだ。」

男はそれを袋に入れて大事に持って帰った。

家に帰ると男は卵を皿に入れ、棚の上に置いて拝んだ。

「何かいいことがありますように。」

 卵は金色に光り、男はそのまま眠ってしまった。

 

次の日から男の人生は変わった。

何もかもがうまくいくようになった。

土を耕せば宝を掘り当てた。

村で一番美しい娘とも結婚した。

戦でも活躍し、王様の家来になれた。

大きなお屋敷を建て、男は村で一番の幸せものになった。

 

数年がたち、男はそんな暮らしにもすっかり慣れてしまった。

遊んで家に帰らないような日もたびたびあった。

怠けるようになった男は、ある日王様に呼ばれたが病気だといって休んだ。

酒を飲み退屈そうにあくびしながらベッドに寝転んだ。

「何かいいことねえかな?」

ふと棚に目をやると卵があった。

宝石や王様からの勲章にすみっこに追いやられ、すっかり埃をかぶってしまっていた。

男は卵を見ながら考えた。

「この卵を持って帰ってきて幸せになったんだから、またお願いすればもっと幸せになるに違いない。」

男は卵を手に取り、お願いした。

「この国の誰よりも幸せになれますように。」

卵は何も変わらなかった。

男は卵を強く握りしめ、もう一度お願いしようとした。

すると卵は手の中でグシャグシャに割れてしまった。

ビックリした男はあわてて卵の殻を拾い集めたが、もうどうしようもなかった。

次の日から男は何をやっても失敗した。

王様からクビにされ、お屋敷も無くなり、妻も出て行った。

男は元の貧しい暮らしに戻った。

 

「オラ卵の持ち方も知らない大馬鹿野郎だ。」

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