宇宙航空研究開発機構は10日、月探査衛星「かぐや」の2基ある子機のうち、リレー衛星「おきな」が日本時間12日夜に月の裏側に落下するとの見通しを明らかにした。おきなはかぐや打ち上げから約1カ月後の2007年10月に親機から分離され、親機と連携して月の裏側の重力分布を世界で初めて直接観測した。
以上ヤフーニュースより。
ああ、竹取の翁は最愛の娘に逢いに行ったんだな。
「かぐや、会いに来たぞ!どこにおるのじゃ?」
月に降り立ち、声も嗄れよとばかりに叫ぶ。
「かぐや姫よ、わしじゃ。なよ竹ー!かぐやー!」
荒れ果てた月の大地に翁の声がこだまする。
しばらくするとどこからか声が聞こえてきた。
「お父様、お父様なのですか?」
それはこの世のものとも思えぬ美しい響きだった。
「そうじゃ、わしじゃ。」
あたりを見回すが姿はどこにも見当たらない。
声だけが翁を囲むようにさまざまな方向から聞こえてくる。
「ああ、お父様。お懐かしゅうございます。」
「ささ、早う姿を見せてくれ。」
「・・・・・。」
「どうしたかぐや?」
「お父様のお顔を見ることができて、心から嬉しゅうございます。ですが、何故、何故来てしまわれたのですか?」
「なぜそのようなことを言う。娘に会うのに何の理由があろうか?」
「わたくしはお父様の前に出るわけには参りませぬ。」
「わしがどんな想いで、どれほどの時を費やしてここまで来たか知っておるのか?」
「存じ上げております、わたくしとてお父様お母様のことを忘れた日などありませぬ。」
「月を眺めてはいつもお前のことを思い出していた。」
幼子に言い聞かせるように優しく語り掛ける。
「竹の中でかわいらしく座っていたおまえ。かごの中で転がって遊んでいたおまえ。そして、世に比ぶ者なきほど美しく育ったおまえ。誰もがおまえを欲しがった。帝までも。」
翁の目からは涙がぽろぽろとこぼれていた。
かぐやは黙って聞いていた。
「わしとばあさんは幸せじゃった。だがそんな日々は突然終わりを告げた。月からの使者が来て愛するお前を奪っていきおった。あれからわしらは泣いて暮らしたものよ。」
「あの時はどうしようもなかったのです。」
「ならば今、月にようやくたどり着いたわしに姿を見せてくれ。後生じゃ、一目だけでも良い。」
「それができればいかほど幸せでありましょうか?」
しぼりだすような悲痛な声だった。
「お父様に会えないのは訳があるのです。」
「父が娘の顔を見ることが叶わぬとは、一体どのような訳があるというのじゃ?」
「わたくしは月に戻されてから月の食物を口にして生きてまいりました。そして月日の経つうちに月の人間本来の姿に戻ってしまいました。もうお父様の知っているかぐやはどこにもいないのです。」
言い終えるとかぐやは泣き出してしまった。
「何をおかしなことを。」
翁は微笑んでいた。
「今わしに姿を見せることができないと言って泣いている。それこそ心優しいあのころのお前じゃないか。お前がどんな姿になっていようと、わしの娘であることに変わりは無い。」
「お父様・・・。」
「さあ、おいで。」
「わかりました。でも決して怖がらないでくださいね。」
翁の目の前に光の粒がすうっと流れてきた。
蛍のような淡い淡い光。
一粒、二粒、三粒、・・・。
光の粒はどんどん増え、輝きも増していった
何十何百何千と集まりやがて一つの大きな光となった。
あまりのまぶしさに顔の前に手をやり目をつぶる。
やがて輝きがひいていくのを感じた翁は恐る恐る目を開いた。
そこにいたのは南こうせつ、山田パンダ、伊勢正三の三人だった。
かぐや姫かよ!

千年の時を超え再会する父娘に祝福を。
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