JAN.26,2005
その日の朝、居住モジュール・ズヴェズダ内に警告音が鳴り響いた。
クルーたちが慌ててパネルを確認すると『ATM』の灯りがともっていた。
「空気汚染?おいおい、マジかよ?」
ドーソンが素っ頓狂な声を上げる。
だがそれほど深刻な顔はしていない。
ベンジャミンが『やれやれまたか』といった表情を浮かべる。
と言うのも、ここ数日間何度かこんな風にC&Wパネルが作動した事があった。
その度に全員(と言っても三人だが)が原因究明に駆り出された。
たいていはパネルの誤作動か駆動系から少しばかり大きな音が出ているといった程度の物で、直す準備をしている間に勝手に収まっていた。
「だが見過ごすわけにも行かないだろう。」
イワノフがパネルを見つめながらつぶやく。
そんな事は全員百も承知だった。
地上ならいざ知らず、ここは宇宙だ。
空調の不備は生命の危機に直結する。
結局いつものように二人で船外から空調各部を調べる事になった。
ベンジャミンがズヴェズダに残りモニタリング。
イワノフとドーソンが異常を探す。
船外活動ユニット(EMU)を装着しながらドーソンがイワノフに話しかける。
「ヘイ、今回は何だと思う?俺はヴォズドゥク(ロシア製二酸化炭素除去装置)に微小デブリでも詰まったんじゃないかと思うね。」
「君はどうしてもロシア製にケチをつけたいらしいな、ドーソン。異常は酸素タンクかもしれないし、CDRA(米国製二酸化炭素除去装置)かもしれないじゃないか。誤報の可能性だって捨てきれないんだ。あまり決め付けない方がいい。」
「なら賭けるか?俺はヴォズドゥクの異常に10ドルだ。」
「また賭けか。君は他に楽しみが無いのか?一大国際プロジェクトであるISSを対象に賭けるなんて不謹慎だぞ。」
「乗らないのか?なら俺の不戦勝だな。おお可哀想なヴォズドゥク!テメエの国のパイロットにも信用されてないなんて!」
ドーソンは皮肉っぽくロシア国歌を歌いながらEMUを装着していく。
「待て、今の言葉取り消せ!」
イワノフがドーソンの眼前に迫る。
今にも掴みかからんばかりの勢いだ。
「だったら乗るか?」
「ああ、いいだろう!CDRAの不調に50ドルだ!」
「フン、大きく出たな。まあいいさ。これでお前も不謹慎の仲間入りだ。」
「・・・・・・!」
イワノフの顔が真っ赤になり、腕を振り上げようとしたその時。
「オイ、いい加減にしろよ。」
ベンジャミンの声がスピーカーから響いた。
「こっちはずーっとモニターとにらめっこしながら待ってるんだ。早いとこ終わらせて俺に実験の時間をくれよ。」
「オーケー!さっさと済ませるか。キャプテン・フューチャーにお任せあれ!」
ドーソンがわざとらしいぐらいの陽気さで返す。
イワノフは黙って装着を急ぐ。
二人は視線を外したままEMUの装着を済ませ船外へと向かった。
(続く)
その日の朝、居住モジュール・ズヴェズダ内に警告音が鳴り響いた。
クルーたちが慌ててパネルを確認すると『ATM』の灯りがともっていた。
「空気汚染?おいおい、マジかよ?」
ドーソンが素っ頓狂な声を上げる。
だがそれほど深刻な顔はしていない。
ベンジャミンが『やれやれまたか』といった表情を浮かべる。
と言うのも、ここ数日間何度かこんな風にC&Wパネルが作動した事があった。
その度に全員(と言っても三人だが)が原因究明に駆り出された。
たいていはパネルの誤作動か駆動系から少しばかり大きな音が出ているといった程度の物で、直す準備をしている間に勝手に収まっていた。
「だが見過ごすわけにも行かないだろう。」
イワノフがパネルを見つめながらつぶやく。
そんな事は全員百も承知だった。
地上ならいざ知らず、ここは宇宙だ。
空調の不備は生命の危機に直結する。
結局いつものように二人で船外から空調各部を調べる事になった。
ベンジャミンがズヴェズダに残りモニタリング。
イワノフとドーソンが異常を探す。
船外活動ユニット(EMU)を装着しながらドーソンがイワノフに話しかける。
「ヘイ、今回は何だと思う?俺はヴォズドゥク(ロシア製二酸化炭素除去装置)に微小デブリでも詰まったんじゃないかと思うね。」
「君はどうしてもロシア製にケチをつけたいらしいな、ドーソン。異常は酸素タンクかもしれないし、CDRA(米国製二酸化炭素除去装置)かもしれないじゃないか。誤報の可能性だって捨てきれないんだ。あまり決め付けない方がいい。」
「なら賭けるか?俺はヴォズドゥクの異常に10ドルだ。」
「また賭けか。君は他に楽しみが無いのか?一大国際プロジェクトであるISSを対象に賭けるなんて不謹慎だぞ。」
「乗らないのか?なら俺の不戦勝だな。おお可哀想なヴォズドゥク!テメエの国のパイロットにも信用されてないなんて!」
ドーソンは皮肉っぽくロシア国歌を歌いながらEMUを装着していく。
「待て、今の言葉取り消せ!」
イワノフがドーソンの眼前に迫る。
今にも掴みかからんばかりの勢いだ。
「だったら乗るか?」
「ああ、いいだろう!CDRAの不調に50ドルだ!」
「フン、大きく出たな。まあいいさ。これでお前も不謹慎の仲間入りだ。」
「・・・・・・!」
イワノフの顔が真っ赤になり、腕を振り上げようとしたその時。
「オイ、いい加減にしろよ。」
ベンジャミンの声がスピーカーから響いた。
「こっちはずーっとモニターとにらめっこしながら待ってるんだ。早いとこ終わらせて俺に実験の時間をくれよ。」
「オーケー!さっさと済ませるか。キャプテン・フューチャーにお任せあれ!」
ドーソンがわざとらしいぐらいの陽気さで返す。
イワノフは黙って装着を急ぐ。
二人は視線を外したままEMUの装着を済ませ船外へと向かった。
(続く)
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