鳥の詩

| コメント(0) | トラックバック(0)
それはアンニュイな土曜の昼下がりのことだった。
俺は待ちに待った給料が入ったので買い物に出かけていた。
新しいコートが欲しかった。
お気に入りの店を皮切りにあちこちのぞく。
なかなか思い通りのものが無く、さんざん歩き倒し少し疲れてきた。
よく行くショッピングモールの広場で休憩することに。
煙草を喫みながらメールを打っていた。
耳にはヘッドフォン。
青空の下ゴキゲンな音楽を聴きながら紫煙を吐き出し、文章を考える。
なんでもない平凡な土曜日だった。
このまま何事も無く一日が終わるはずだった。
だがその瞬間は何の前触れも無く訪れた。

ポトッ。

「ん?」
右手の甲に何かが当たったのを感じた俺は反射的に視線を移す。
そこには鳥の素敵な落し物が...。

兵士A「機長!右翼に被弾!」
機長「クソッ!敵はどうした!」
兵士B「上空からの一撃で離脱した模様!」
兵士C「右翼機関停止!降下しています!」
機長「クッ!よりによってこんな市街地の上で...。」
兵士A「高度5000、4500、4000...」
機長「止むをえまい、総員退避!」
パラシュートを身に付ける兵士たち。
一人がふと見ると機長だけまだ操縦席についている。
兵士B「機長何してるんですか!?安全高度をきってしまいます!」
機長「罪も無い一般市民を巻き込むわけにも行くまい。出来るだけ人の少なそうな場所に落とすさ。それに俺は機長だからな。この機を最期まで見届ける義務がある。」
兵士C「しかしそれでは機長が!」
機長「言うな!もとより覚悟の上だ。」
兵士A「でしたら自分も供に!」
機長「バカヤロウ!お前ら若いのはまだまだやる事があんだろうがっ!」
兵士達「・・・・・。」
機長「お前らに一つだけ頼みがある。聞いてくれるか?」
兵士達「イエッサー!」
機長「ウチのカカアに言っといてくれ。『こないだはすまなかった。お前のシチューは世界一だ。愛してるぜサリー』ってな。」
兵士達「イエッサー!」
涙を零しながら敬礼する兵士達。
機長「さあもう行け!グズグズするな!」
飛び降りる兵士達。
機長「生きろ若者よ。未来はお前達の物だ。」
胸ポケットから煙草を取り出しおもむろに火をつける。
機長「地獄って煙草あんのかな?」
機はグングン降下している。
大学らしき敷地の運動場に目をつける。
だが機体の損傷は思ったより激しく、コントロールが今ひとつ効かない。
機長「このじゃじゃ馬め!最期ぐらい言うこと聞きやがれ!」
いよいよ地面まで百数十mしかない。
どうにか被害は最小限で済みそうだ。
機長「終わりの時間に色んな事思い出すって本当なんだな。カカアとの想い出の曲まで流れてやがる。あれは何て歌だっけ。」

鳥よ~鳥よ~鳥たちよ~♪
鳥よ~鳥よ~鳥の詩~♪

機長「ああ、そうだ。あれは確か...。」


今日の表題曲
1981年・杉田かおる
【関連記事】

トラックバック(0)

トラックバックURL: http://kgb7.com/mt/mt-tb.cgi/178

コメントする

2009年8月

            1
2 3 4 5 6 7 8
9 10 11 12 13 14 15
16 17 18 19 20 21 22
23 24 25 26 27 28 29
30 31          

このブログ記事について

このページは、GAUCHEが2004年12月11日 15:58に書いたブログ記事です。

ひとつ前のブログ記事は「禁じられた遊び」です。

次のブログ記事は「涙そうそう」です。

最近のコンテンツはインデックスページで見られます。過去に書かれたものはアーカイブのページで見られます。